今日からヨセフの生涯を学んでいきます。全体を流れるテーマは家族です。
「ヨセフは彼らの悪いうわさを彼らの父に告げた。」(創世記37:2)
17歳になっていたのにヨセフは一人前の仕事ができません。兄たちの悪口を父に告げることばかりをしていました。
「イスラエルは、息子たちのだれよりもヨセフを愛していた。」(3節)
父親のヤコブはヨセフを溺愛しました。それが家族の問題になっていることすら自覚できません。ヨセフには特別の晴れ着を普段着として与えました。
「ヨセフの兄たちは、父が兄弟たちのだれよりも彼を愛しているのを見て、彼を憎み、穏やかに話すことができなかった。」(4節)
おそらく長男ルベンは30歳前後です。いい年をした兄たちも、ヤコブのヨセフに対するえこひいきを見て苛立っていました。そのせいで、兄たちがヨセフと話す時には、憎しみが態度に現れ、使う言葉は皮肉と蔑みと嘲りが混じっていました。
ヤコブの家族はどうしてこんなに荒れたのでしょう。
それは家族の歴史を紐解けば分かります。
「レアの子はヤコブの長子ルベン、シメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ゼブルン。
ラケルの子はヨセフとベニヤミン。
ラケルの女奴隷ビルハの子はダンとナフタリ。
レアの女奴隷ジルパの子はガドとアシェル。
これらはパダン・アラムで生まれたヤコブの子である。」
(創世記35:23~26)
ヤコブには二人の正妻と二人の女奴隷がおり、12人の息子は4人の母親から生まれたことになります。この複雑さが家庭の混乱を生み出した原因です。正妻の二人が憎み合っていたので、子供たちの間も争いが絶えません。
創世記29章をご覧ください。ヤコブはパダン・アラムのラバン叔父さんの家に逃げ込みました。ラバンの娘ラケルの美しさに一目ぼれしたヤコブは、花嫁料として7年間働き、結婚式の日を迎えました。朝起きると横に寝ていたいのはラケルではなく、その姉レアでした。ラバンに騙されたのです。ラバンはヤコブに命じました。1週間後にラケルと結婚させてやるが、あと7年間働け。ヤコブは従うしかありません。
「ヤコブは、レアよりラケルを愛していた。」(創世記29:30)ヤコブの心がラケルに向かっているのを見て、レアは子供を産むことで夫の心を引き付けようとして4人の子を次々に生みました。それが、長子ルベン、次男シメオン、三男レビ、四男ユダです。
子供の生まれないラケルは自分の奴隷女ビルハを夫に与え、ダンとナフタリが誕生しました。
それを見たレアは自分の女奴隷ジルパを与え、ガドとアシェルが生まれました。
その後ラケルは念願の息子を生み、ヨセフと名付けました。
レアはその後、イッサカル、ゼブルンを生み、彼女は合計6人の息子の母となりました。
ヤコブの家族は、その後約束の地に戻り、ラケルはそこで二人目の子ベニヤミンを生んで直後に亡くなりました。
最愛の妻ラケルを失ったヤコブは、息子ヨセフにその面影を見て、溺愛の度合いが増していきました。
毎日の仕事は長男ルベンが仕切り、レアの息子6人が中心となって行われたはずです。奴隷女から生まれた4人は身分的に低く見られ、下働きをさせられたでしょう。ヨセフは、レアの息子たちに嫌われていたので仲間外れにされ、女奴隷の息子たち4人のそばにいました。それが創世記37:2の背景です。
ヤコブの家族の姿は、私たちの家族の鏡です。
・あなたは誰か一人だけを甘やかしていませんか。
・家族のある人にだけ皮肉を言いませんか。
・ある人の話だけに耳を傾けず、無視していませんか。
私たちの中にも、ヨセフの兄たちが生きています。
ヤコブのようなえこひいきが存在します。
□もっと、温かい家族になるために、私に何ができるだろう
「キリストの平和が、あなたがたの心を支配するようにしなさい。」(コロサイ3:15)