「兄たちは遠くにヨセフを見て、彼が近くに来る前に、彼を殺そうと企んだ。」(創世記37:18)
ヨセフが一人でやって来たのを見て、兄たちは殺すチャンスだと思いました。今日は最初に謎解きから始めましょう。ヨセフ殺害の首謀者は兄たち10人の中で誰だったのでしょう。
女奴隷から生まれた4人、ダン、ナフタリ、ガド、アシェルは地位が低いので指導的な立場は取れません。イッサカルとゼブルンは正妻レアから生まれましたが、年長の兄4人から見れば歳の離れた子供とみなされるのでヨセフ殺害の首謀者にはなれません。すると、レアから生まれた最初の4人、ルベン、シメオン、レビ、ユダに絞られます。
けれども、今日の箇所によると、ルベンもユダもヨセフ殺害に反対しているので、首謀者ではありません。
すると消去法で、次男シメオンと三男レビが首謀者となります。後になって、エジプトでヨセフと兄弟たちが再会した折に、人質としてエジプトに残るようにヨセフが指名したのがシメオンでした。(創世記42:24)この事からも、シメオンがヨセフ殺害の首謀者だった可能性が高いです。
ヨセフ物語のテーマは家族です。ヤコブの家庭は崩壊していました。父親がヨセフを偏愛し、あからさまにえこひいきをしていました。兄たちはヨセフを憎み殺そうとしていました。
ここまでひどくなくても、私たちの育った家庭や今の家庭も似ています。家族の誰か一人をみんなでいじめたり、母親が子供の前で夫を馬鹿にしたり、夫婦喧嘩が絶えなかったり、嫁姑がいがみ合ったりする家庭はたくさんあります。
壊れた家庭、傾いた家庭は立て直せますか。できます。責任感のあるルベンのような人がいれば可能です。また、ユダのような人がいれば、機転をきかせて家族の雰囲気をがらっと変えることができます。
また、ルベンは言った。「弟の血を流してはいけない。弟を荒野の、この穴に投げ込みなさい。手を下してはいけない。」これは、ヨセフを彼らの手から救い出し、父のもとに帰すためであった。(創世記37:22)
長男ルベンはヨセフ殺害に反対しました。血を流してはいけないと正論を主張し、兄弟を説得しました。ヨセフをいったん穴に入れ、隙をみて穴から助け出す作戦でした。
わがままなヨセフにも生きる価値がある。えこひいきする父親だが、その父のためにヨセフを連れ戻す必要がある。ルベンは強い責任感を持っていました。
残念ながら、ルベンのいない隙に、ヨセフは奴隷に売られてしまいましたが、ヨセフの命を助けるきっかけを作ったのは長男ルベンだったのです。
すると、ユダが兄弟たちに言った。「弟を殺し、その血を隠しても、何の得になるだろう。さあ、ヨセフをイシュマエル人に売ろう。われわれが手をかけてはいけない。あいつは、われわれの弟、われわれの肉親なのだから。」兄弟たちは彼の言うことを聞き入れた。(創世記37:26~27)
ユダは兄弟全体の雰囲気を見て、ヨセフ殺害は避けられないと判断したのでしょう。ぎりぎりの状況で打開策を考えていた時に、キャラバン隊が目の前を通ったのです。ヨセフを殺しても何の得もないが、奴隷として売れば小遣いが手にはいるぞ、とユダは言いました。すると、激怒して頭に血の上っていた兄弟たちが急にそろばん勘定を始めて、納得したのです。雰囲気を一変させる機転のきいたアイデアでした。もちろんユダがしたことは決してほめられる事ではありません。兄弟を奴隷として売ったのですから。それでも最悪は回避できたのです。ヨセフは奴隷として売られた先で生きる道が残されたのです。
神の夢は、最悪と見える状況でも、静かに、確実に、推し進められています。
あなたの家族は崩壊していますか。倒れそうですか。思いやりがありますか。憎しみやイライラがありますか。責任のなすり合いをしていませんか。ごめんなさいの言葉と赦しの言葉がありますか。
ルベンのような責任感ある態度によって、傾いた家庭は守られます。
ユダのような機転のある言葉によって、雰囲気ががらりと変わります。
神が夢をあきらめていないなら、家族再生の道は残されています。
□家族で仲間外れにしても、復讐しても、何も生まれない
□主よ、私に責任感を与えて下さい
□主よ、機転のきいた一言を言わせて下さい
□最悪に見えても、神の計画は進んでいる