「全能の神が、その方の前でおまえたちをあわれんでくださるように。そして、もう一人の兄弟とベニヤミンをおまえたちに渡してくださるように。私も、息子を失うときには失うのだ。」(創世記43:14)
息子ユダの言葉に心動かされ、頑固だったヤコブの口から祈りが生まれました。「全能の神」(エル・シャッダイ)という神の名は旧約聖書に7回用いられています。
創世記17:1で初めて神みずからがご自分の特性を明らかにされました。この箇所は99歳のアブラハムに子供が生まれると神が約束された場面でした。
次に、創世記28:3において、父イサクが青年ヤコブの旅立ちに当たって用いた表現も全能の神でした。パダン・アラムで妻を見つけ、多くの子が与えられるようにという祈りでした。
創世記35:11では、たくさんの子供を連れてカナンに戻って来たヤコブが将来に不安を覚えていました。そんな時ベテルの地で、あなたの子孫から国が生まれ王たちが現れこの土地を与えると神が約束して下さいました。その時、神ご自身が用いられた神の名が全能の神でした。
全能の神という神の名は、厳しい困難が横たわっている時に用いられます。今日の箇所でもヤコブは、エジプトで穀物を買い求め、人質のシメオンを取り戻り、ベニヤミンを連れ帰ることがどれほど困難かを深く認識していました。それで、プライドを捨て、全能の神にすべてをお任せすることにしたのです。ヤコブの信仰が復活した瞬間でした。
あなたの目の前に大きな困難がありますか。全能の神に信頼しましょう。
ヤコブの息子達は末っ子ベニヤミンを連れてエジプトに出発しました。袋に戻っていた銀について、ヤコブは「あれは間違いだったのだろう。」(創世記43:12)と考え、二倍の銀を持たせました。ヨセフがベニヤミンを認めると、兄たち全員を自宅に招き入れ、昼食を共にすると決めました。
兄たちは全体像が見えないので不安に陥りました。袋の銀の件であらぬ疑いをかけられ、奴隷にされ、ロバまで奪われると勘繰ったので怖くて震えました。それで兄たちは、ヨセフ宅の門前で管理者に必死に弁解しました。誰かが袋の中に銀を入れたのです。(43:22)それは返します、今回の代金は別に持ってきましたと。
兄たちにとって銀といえば、ヨセフを売った代金の銀20枚(創世記37:28)についての苦い思い出があります。もちろん父ヤコブには銀のことは話していません。今回の銀について兄たちは正直に話しました。
ヨセフが兄たちの袋に銀を戻させたのは、その銀を用いて兄たちの正直さを試したのかもしれません。銀について何も言わないなら、昔の兄たちのままだ。銀が戻っていたと説明し、銀を持って来たなら兄たちは信頼できると考えたのかもしれません。
正直さはあまりスマートには見えません。嘘をついたり、覆い隠したりすれば、近道を楽に進めます。正直に告白し、自分の失敗を認めることは格好悪いです。けれども、正直な人は最終的には信頼される人になります。今週、正直さを大切にしましょう。
彼は答えた。「安心しなさい。恐れることはありません。あなたがたの神、あなたがたの父の神が、あなたがたのために袋の中に宝を入れてくださったのです。あなたがたの銀は、私が受け取りました。」それから、彼はシメオンを彼らのところに連れて来た。(43:23)
ヨセフの家の管理者は、穀物の代金は受け取っていますと明言しました。「あなたがたの神、あなたがたの父の神が、あなたがたのために袋の中に宝を入れて下さったのです」という言葉に、兄たちはどんなに安堵したことでしょう。
シメオンが釈放されました。みんな喜んだことでしょう。水が与えられ、ろばの餌が支給され、兄たちの心は落ち着いてきました。ヤコブの祈りはきかれ、全能の神のあわれみが確かに注がれました。
☐全能の神にお任せしよう
☐正直さを大切にしよう
2022年12月4日日曜日
創世記43:11~25
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