主イエスの十字架から10年ほどたった頃、ヘロデ・アグリッパ1世は十二弟子の一人ヤコブを処刑しました。ユダヤ当局者の反応が良かったのでペテロも殺すつもりでした。
ヘロデが彼を引き出そうとしていた日の前夜、ペテロは二本の鎖につながれて、二人の兵士の間で眠っていた。戸口では番兵たちが牢を監視していた。すると見よ。御使いがそばに立ち、牢の中を光が照らした。御使いはペテロの脇腹を突いて彼を起こし、「急いで立ち上がりなさい」と言った。すると、鎖が彼の手から外れ落ちた。(使徒12:6~7)
ペテロは熟睡していました。処刑を明日に控えた夜、ペテロはどうして眠れたのでしょう。
第一の理由。痛みがなかった。
パウロとシラスはピリピで無実の罪で逮捕され、衣服をはがされて鞭打たれました。その後、二人は深夜にもかかわらず賛美し祈っていました。(使徒16:25)それは励まし合うため、怒りに支配されないため、そして、賛美して傷の痛みに負けないためという意味合いもあったのでしょう。
ペテロの場合は、傷の痛みが無かったので眠れました。
第二の理由。助けられた経験。
ユダヤ当局がクリスチャンの増加をねたみ、ペテロら使徒たちを逮捕投獄したことがありました。けれども、主の使いの助けによって救出されました。(使徒5:19、22~23)主がお望みになられたら、どんな状況からでも助け出して下さるとペテロは考えていたでしょう。
あなたも何度か危機を乗り越えて来たはずです。その時助けて下さった主は、今度も助けて下さいます。
第三の理由。祈られている安心。
今もみんなが祈ってくれているとペテロは知っていました。「教会は彼のために、熱心な祈りを神にささげていた。」(使徒12:5)おそらく、ヤコブが逮捕された時も皆で祈り、ペテロもその祈りの輪に参加していたことでしょう。牢から解放されてペテロが最初に向かった先は祈り会の開かれていた家でした。
12~17節は本筋から離れた逸話ですが、女中ロデと祈っていた人々とのユーモラスな会話はみんなの思い出に残っていました。
あなたが大きな悩みを抱えている時は、誰か信頼できる人に祈ってもらいましょう。
第四の理由。主イエスの言葉。
復活されたイエスさまはガリラヤ湖で、ペテロの将来を予告されていました。若い時は自分の望むところを歩くけれども、ペテロは年をとると望まないところに連れて行かれる、というのです。(ヨハネ21:18~19)つまり、死ぬときは神の栄光をあらわす、殉教の死を遂げると予告されたのです。
ですからペテロは、主が望まれるなら脱出できるし、天命を全うしたと主がお考えになるのなら主の栄光を現せる死が待っていると考えていました。死の覚悟ができていたのですべてを主におゆだねして眠ることができたのです。
あなたは眠れないほどの悩みの中にいますか、過労のために眠れませんか、明日の事を考えると目が覚めてしまいますか。
もし生きるなら主の助けが必ずある、もし死ぬなら主の栄光をあらわす死になる。
□あなたのために祈ってくれる人がいます
□眠っている間に主は助けて下さいます
□死でさえも神の栄光をあらわせる