2024年2月25日日曜日

伝道者の書7章 死を心に留めよ

 社会は不条理であり、人生は空しい。これは伝道者の書で繰り返し語られてきた内容です。7章では、そんな辛い世界を生きるためのヒントがいくつか語られています。

1、人生の終わりに目を留める

「そこにはすべての人の終わりがあり」「それを心に留めるようになるからだ」(伝道者の書7:2)

多くの人は死を他人事としてとらえ、真剣には受け止めていません。「事の終わりは、その始まりにまさる」(8節)のです。死はすべての人にやってきます。しかも、死ぬ時は誰も知りません。そして、人生はたった一度しかないのです。

死を考える人は、痛くない死に方、迷惑のかからない死に方、寂しくない死に方、お金を上手に残す死に方などを熱心に考えます。もっと大事なのは、天国、救い、永遠の命などについて知ることです。そして、人生の最後に「良い人生だった」と感謝できたら幸いです。死をきちんと見つめる人は、今を大切に生きることができます。死を心に留めましょう。

死ぬまでにやっておきたい事があるなら、健康なうちにしてみたらどうでしょう。主イエスのため、福音のため、神の国のためにしたいと思っている事があるなら、できるだけ早期に取り組んだら良いと思います。
 死ぬまでにしたい事、それは何ですか。

 

2、神が曲げたものに目を留める

 「神が曲げたものをだれがまっすぐにできるだろう」(13節)

 この言葉は1:16で既に登場していて伝道者の書の中心聖句の一つです。これは信仰者のとても大切な姿勢で、神の主権を認める態度なのです。

神が曲げたと思える経験を誰もがしています。その時はとても辛い出来事で、元に戻してほしいと何度も真剣に願うものです。後に、人生を静かに振り返ると、この曲げられた経験が宝になったと気づくことがあります。
 あなたにとって、神が曲げたもの、とは何ですか。

順境の日にはそれを感謝し喜びましょう。そして逆境の日には、神がなされた事として深く考え直し、受け止めていきましょう。

 

3、人の語ることばに心を留めない

 「また、人の語ることばをいちいち心に留めてはならない。」(21節)

人の言葉ばかりが聞こえる人は、その言葉に支配されています。そういう人は、本当は自分が何をしたいかが定まっていません。あなたが信じている主を見上げ、あなたが与えられている使命を行っていきましょう。雑音でなく、主の声を聞くものになりましょう。
 あなたは今、誰の言葉が聞こえていますか。

「あなたは正しすぎてはならない。」(16節)「あなたは悪すぎてはいけない。」(17節)とあります。私たちは家族と共に生活し、社会の人々とつながりながら生きているので、この両極端に陥らないようにしましょう。自分だけの正義感を振りかざすと周囲の人は息苦しくなります。振り子が反対に触れると、どうせみんなが悪いことをしているならもっと悪い事をしてみようとなります。それは犯罪です。周りの人を巻き込んで不幸にします。

 

全体をまとめます。不条理で空しさのある人間の世界をどう生きたらよいのでしょう。主権者である神を見上げましょう。神が曲げたものは受け入れましょう。人生は自分の思った通り進んでくれませんし、宙ぶらりんの状態が長く続きますが、人に左右されず、両極端に振れずに主にあって賢く進みましょう。そして、人生の終わりを静かに考え、悔いのない生涯を送れるように、今日を大切に生きましょう。

 □人生の終わりを考えて、今を生きよう
 □神が曲げたものを静かに受け入れる
 □正し過ぎず、悪者にならず、あきらめない

2024年2月18日日曜日

伝道者の書6章 人の満足とは 

 伝道者の書6章にはネガティブな雰囲気が漂っています。何をしても人生は空しく(2、9、11、12節)、満足は得られず(3、7節)、何が良いことなのか分からない(12節)と述べています。

 私たちの社会、仕事、人生をありのまま観察すると、確かに空しく、不平等です。その現実への対応は、暴力的な革命、体制への迎合、あるいは現実逃避などが考えられます。伝道者は、冷徹に現実を見つめ続けます。おそらく、何かの解決の糸口を見つけたいのでしょう。

<与えられた物を生かせない人>(1~6節) 

 「もし人が百人の子どもを持ち、多くの年月を生き、彼の年が多くなっても、彼が良き物に満足することなく、墓にも葬られなかったなら、私は言う。彼よりも死産の子のほうがましだと。」(伝道者の書6:3)

富と誉れを受けても、それを楽しむことができない人がいます。長生きして多くの子供に恵まれても、その子供たちはその父を葬ることすらしません。こんな事なら、生まれなかった赤ちゃんのほうが安らかだと、述べています。

 

<食べるために働くだけの人生>(7~9節)

「人の労苦はみな、自分の口のためである。しかし、その食欲は決して満たされない。」(6:7)

 働く理由は何でしょう。割り切って言うと、食べるために働いています。ただし、夕食を食べても次の日には空腹になり、食欲は満たされることがありません。そして、それに対応するように、心の満足も得られません。

 働くことを食べるための奴隷労働ととらえるのは止めましょう。多くのスキルや専門知識を獲得できて、人間関係の要を学べる人間成長の場であり、神から頂いた賜物を磨く場所だと考えるなら、お給料はボーナスのように感じられます。

<権力者の圧力>(10~12節)

「存在するようになったものは、すでにその名がつけられ、それが人間であることも知られている。その人は、自分より力のある者と言い争うことはできない。」(6:10)

存在しているものにはすべて名前が付けられています。名前が付けられた世界、すでに権力や秩序が作られた社会に私たちは生まれてきます。ですから力のある者と争っても空しいのです。

夕方、影が長く伸び始めると太陽はあっという間に沈みます。私たちの命は、その影のように早く過ぎ去るのです。

 6章を読み終え、静かに考えてみましょう。

 人生の後半の生き方はとっても大事です。神から与えられたギフトを独り占めして生かしきれないなら人生は空しくなります。与えられたギフトを誰かのため、社会のため、神のために用いれば良いのです。それが私たちの仕事とリンクするなら仕事に生きがいを感じることができます。お金、名声、家族、経験、人とのつながり、さまざまな賜物など神から頂いたものを生かし、与え、用いましょう。

 「なくなってしまう食べ物のためではなく、いつまでもなくならない、永遠のいのちに至る食べ物のために働きなさい。それは人の子が与える食べ物です。」(ヨハネ6:27)

 □神から与えられたなら、人生の後半の過ごし方を見直そう
 □なくならない食物のために働こう

伝道者の書5章 くよくよ思わない 

「神の宮へ行くときは、自分の足に気をつけよ。近くに行って聞くことは、愚かな者たちがいけにえを献げるのにまさる。彼らは自分たちが悪を行っていることを知らないからだ。」(伝道者の書5:1)

「ただ、神を恐れよ。」(7節) 

 神殿では、人に見せるために立派なささげものをする人がおり、人が驚くような大胆な誓いをするする人がいます。それは神を意識したものではなく、人間に対するものなので無意味です。主イエスも(マタイ5:37)、パウロも(第二コリント1:17~20)、ヤコブも(ヤコブ5:12)同じことを言っています。神殿で最も大切なことは、聞くことです。その姿勢こそが神を恐れ、神を礼拝することです。

 8~9節では、正義や権利が踏みにじられている現状を述べています。社会の底辺まで目が届く王の出現が待たれます。

 「金銭を愛する者は金銭に満足しない。」(10節)

 10~17節では、金持ちの空しさについて語られています。金が最大の関心事になってビジネスをしている人は自分の持っているお金に満足していません。(10節)かえって、持っているお金によって害を受けます。(13節)せっかく貯めたお金も、死んだら手放すしかありません。裸で生まれ、裸で去るのです。(15節)

「働く者は少し食べても多く食べても、心地よく眠る。富む者は満腹しても、安眠を妨げられる。」(5:12)

「見よ。私が良いと見たこと、好ましいこととは、こうだ。神がその人に与えたいのちの日数の間、日の下で骨折るすべての労苦にあって、良き物を楽しみ、食べたり飲んだりすることだ。これが人の受ける分なのだ。実に神は、すべての人間に富と財を与えてこれを楽しむことを許し、各自が受ける分を受けて自分の労苦を喜ぶようにされた。これこそが神の賜物である。」(18~19節)

 庶民の労働の喜びと心地よい眠りが12節に語られています。18~20節においても、普通の人の幸せについて述べています。

 18~19節には「与える」や「受ける」という言葉があるのに注目して下さい。神は私たちに命を与えて下さいました。(18節)神は人に富や財産を与えます。(19節)与えられた人生の中で、一人一人は何らかの仕事をしてその労苦に満足を見出します。これらすべてが「神の賜物」(19節)なのです。英語の聖書では、This is a gift of God. と書かれています。

 人を驚かせるような誓いをしても空しいです。株や利息の上下に気を取られ、毎日ギャンブルを続ければ金に滅ぼされます。その逆に、この人生は神に頂いたギフトだと理解し、人生のその時期ごとに与えられた労働を行って満足を得、主が与えて下さった食べ物を感謝して味わうなら、自分の生涯をくよくよ思わず、神が心を満たして下さるのです。

「こういう人は、自分の生涯のことをあれこれ思い返さない。神が彼の心を喜びで満たされるからだ。」(20節)

□神に耳を傾け、神を恐れ、礼拝しましょう。
□神はたくさん与えて下さった。①人生、②富、③仕事、④食事、⑤喜び。
□感謝し、味わい、喜びましょう。

ヨハネ20:1~18 ラボニ

 「だれかが墓から主を取って行きました。どこに主を置いたのか、私たちには分かりません。」(ヨハネ20:2)   マグダラとはガリラヤ湖西岸の町の名で、ティベリアの北にあります。マグダラのマリアは、ルカ8:2によると7つの悪霊を追い出して病気を癒してもらった人で、マタイ27...