社会は不条理であり、人生は空しい。これは伝道者の書で繰り返し語られてきた内容です。7章では、そんな辛い世界を生きるためのヒントがいくつか語られています。
1、人生の終わりに目を留める
「そこにはすべての人の終わりがあり」「それを心に留めるようになるからだ」(伝道者の書7:2)
多くの人は死を他人事としてとらえ、真剣には受け止めていません。「事の終わりは、その始まりにまさる」(8節)のです。死はすべての人にやってきます。しかも、死ぬ時は誰も知りません。そして、人生はたった一度しかないのです。
死を考える人は、痛くない死に方、迷惑のかからない死に方、寂しくない死に方、お金を上手に残す死に方などを熱心に考えます。もっと大事なのは、天国、救い、永遠の命などについて知ることです。そして、人生の最後に「良い人生だった」と感謝できたら幸いです。死をきちんと見つめる人は、今を大切に生きることができます。死を心に留めましょう。
死ぬまでにやっておきたい事があるなら、健康なうちにしてみたらどうでしょう。主イエスのため、福音のため、神の国のためにしたいと思っている事があるなら、できるだけ早期に取り組んだら良いと思います。
死ぬまでにしたい事、それは何ですか。
2、神が曲げたものに目を留める
「神が曲げたものをだれがまっすぐにできるだろう」(13節)
この言葉は1:16で既に登場していて伝道者の書の中心聖句の一つです。これは信仰者のとても大切な姿勢で、神の主権を認める態度なのです。
神が曲げたと思える経験を誰もがしています。その時はとても辛い出来事で、元に戻してほしいと何度も真剣に願うものです。後に、人生を静かに振り返ると、この曲げられた経験が宝になったと気づくことがあります。
あなたにとって、神が曲げたもの、とは何ですか。
順境の日にはそれを感謝し喜びましょう。そして逆境の日には、神がなされた事として深く考え直し、受け止めていきましょう。
3、人の語ることばに心を留めない
「また、人の語ることばをいちいち心に留めてはならない。」(21節)
人の言葉ばかりが聞こえる人は、その言葉に支配されています。そういう人は、本当は自分が何をしたいかが定まっていません。あなたが信じている主を見上げ、あなたが与えられている使命を行っていきましょう。雑音でなく、主の声を聞くものになりましょう。
あなたは今、誰の言葉が聞こえていますか。
「あなたは正しすぎてはならない。」(16節)「あなたは悪すぎてはいけない。」(17節)とあります。私たちは家族と共に生活し、社会の人々とつながりながら生きているので、この両極端に陥らないようにしましょう。自分だけの正義感を振りかざすと周囲の人は息苦しくなります。振り子が反対に触れると、どうせみんなが悪いことをしているならもっと悪い事をしてみようとなります。それは犯罪です。周りの人を巻き込んで不幸にします。
全体をまとめます。不条理で空しさのある人間の世界をどう生きたらよいのでしょう。主権者である神を見上げましょう。神が曲げたものは受け入れましょう。人生は自分の思った通り進んでくれませんし、宙ぶらりんの状態が長く続きますが、人に左右されず、両極端に振れずに主にあって賢く進みましょう。そして、人生の終わりを静かに考え、悔いのない生涯を送れるように、今日を大切に生きましょう。
□人生の終わりを考えて、今を生きよう
□神が曲げたものを静かに受け入れる
□正し過ぎず、悪者にならず、あきらめない