子供を産めなかった女性は離縁させられる。それは、世界でも日本でも広く行われた残酷な習慣です。家の継続を優先した男性中心の考え方でした。紀元前1100年ごろのユダヤでもそれは同じことでした。
エルカナは、おそらく最初ハンナと結婚したのでしょう。何年か一緒に過ごしましたが子供が生まれません。しかたなく、エルカナはハンナより若いペニンナを妻としたのでしょう。ペニンナは男の子も女の子も複数産み(4節)エルカナを安心させました。
「ハンナには特別の受ける分を与えていた。主は彼女の胎を閉じておられたが、彼がハンナを愛していたからである。」(第一サムエル1:5)
ハンナが赤ちゃんを産めなかった背後に主の特別なお考えがありました。ハンナの苦悩によって生まれた祈りと熱意が祭司サムエルの誕生に結び付きますがそれは後の話です。
ペニンナは赤ちゃんを産めないハンナを責め(6節)、苛立たせ怒らせました。毎年、その緊張関係がシロで極度に高まり、幸せなはずのご馳走の席でハンナは涙が止まらず食べられません。ペニンナの子供たちも不思議な顔で見ていたことでしょう。
夫のエルカナは、ハンナに言葉をかけますが、ハンナの心には届きません。(8節)
ところで、ペニンナは、何故ハンナを苛立たせるのでしょう。ペニンナはたくさんの子供を産み優位に立っているはずです。それは、夫エルカナが、子どもを産めないハンナを決して離縁しないことが癪に障るのです。決定的な事は、「彼がハンナを愛していた」(5節)(8節)事です。夫エルカナはハンナを愛していたとペニンナにも分かったのです。ですから、ペニンナのほうが苛立っていたのです。
残念なことに、ハンナは自分が不幸だと思い、赤ちゃんが産めないことがその原因だと考え、全体の状況を大きく見ることができません。
環境があなたを不幸にしているのではありません。また、身近な誰かがあなたの不幸の原因ではありません。
あなたの考え方が不幸を引き寄せているのです。感謝を見出し、主の恵みに気づくなら、環境に左右されない平安と喜びがやってきます。
□誰かのせいで不幸ではない、あなたの考え方と受け止め方が不幸にしている
□与えられている感謝と恵みを数えてみよう
□思い通りに行かない時は、主との関わりの中で何かが生まれようとしている