37篇は、箴言や格言やことわざに似ています。
「悪を行う者に腹を立てるな。不正を行う者にねたみを起こすな。
彼らは草のようにたちまちしおれ、青草のように枯れるのだから。」(1~2節)
格言や箴言の第一の特徴は、論理的であることです。37篇では、短いアドバイスの後に理由が示される場合が多いです。原文では「なぜなら」を意味する接続詞が10回も使われていて、日本語訳では「だから」(2節、9節、17節など)と訳されています。
格言や箴言の第二の特徴は、心を励ましてくれことです。疲れたり、悩んだりした時に私たちを力づけてくれるのは、「恐れるな。わたしはあなたとともにいる」、(イザヤ41:10)「ただ信じていなさい」(マルコ5:36)などの短いフレーズなのです。
37篇の第一テーマは、悪人に腹を立てるな、です。
「悪を行う者に腹を立てるな」「青草のように枯れるのだから。」(1~2節)
禁止命令には即効性があります。悪人に腹を立てても無意味です。悪者は青草だからすぐに枯れてしまいます。8~9節、20節、35~36節でも同じ内容が繰り返されています。
注意深く読むと「断ち切られる」(9節)(22節)、「へし折られる」(15節)、「滅ぼされる」(38節)とあります。自然消滅ではなく、神の裁きが行われているのです。
25節に「年老いた今も」とあるように、37篇はダビデが老年になって書いた詩篇です。ダビデほど悪者に苦しめられた人はいませんから、彼の経験に基づいた言葉には重みがあります。
37篇の第二テーマは、主への信頼です。3~4節は極めて大切な言葉で、幸福の方程式といっても良いでしょう。暗記する価値のある重要な聖句です。
「主に信頼し善を行え。地に住み誠実を養え。
主を自らの喜びとせよ。主はあなたの心の願いをかなえてくださる。」(3~4節)
まず主を信頼しましょう。それが土台です。主を信頼する人は、人間関係、仕事への姿勢、置かれている場所の理解、幸福の基準が変化します。そのように歩み続けていると主の祝福が豊かに注がれていることに気がつきます。
「あなたの道を主にゆだねよ。主に信頼せよ。主が成し遂げてくださる。」(5節)
主に信頼しているなら、自分に関わるすべての事柄、つまり、自分の人生も、経済状態も仕事も、健康も命も、主にお任せできるようになります。主と共に歩めること自体が幸せだと感じている人は、自分の願いがいつの間にか実現していることに驚くはずです。主にゆだねましょう。主は最善を為して下さいます。ただし忍耐が必要です。
「主の前に静まり耐え忍んで主を待て。」(7節)
詩篇37篇は、格言型詩篇として、私たちの理性と心の両方に語り掛けてくれて、これで良いのだと私たちの方向性をはっきりと示してくれます。
□悪人に腹を立てるな。青草は枯れる。
□主に信頼し、善を行い、誠実に歩もう。
□主におゆだねしよう。主が成し遂げてくださる。