2022年11月27日日曜日

創世記43:1~10

 飢饉は2年目に入りました。(創世記45:11)買い付けた穀物をほとんど食べ尽くしたことに気づき、父ヤコブは息子達にエジプに行って再び穀物を買い求めるように命じました。

すると、ユダが父に言った。「あの方は私たちを厳しく戒めて、『おまえたちの弟と一緒でなければ、私の顔を見てはならない』と言いました。」(創世記43:3)

 父の言葉に反応したのは四男のユダでした。なぜ、ここでユダが登場したのでしょう。エジプトから帰還した時に、長男ルベンが一生懸命に父を説得しようと試みましたが(42:37)ヤコブは態度を硬化させてしまいました。それで今回、ルベンは何も言い出しませんでした。

 順番でいけば次男の出番ですが、シメオンはエジプトで人質にされています。その次は三男のレビですが声は聞かれません。シメオンとレビは残虐な事件を起こした過去があり(34:25)、父ヤコブの頑迷さと我がままに怒っていたのかもしれません。そんな流れで、四男ユダが父と交渉を始めたのでしょう。(43:3~5)

 問題を前にした時の対応は三つあります。第一、どうにもならないと無気力になり諦める。第二、他人に解決してもらおうと漠然と時を待ったり、誰かの背中を押す。第三、「私がやります」と手を上げる。ユダは第三のタイプでした。

ベニヤミンを連れて行かないと穀物を買えないので、ユダは自分が責任を負うと決意し、父を説得しようとしました。人の後ろに隠れていた普通の人に使命感が与えられ、前に出てリーダーシップを取ることがあるのです。

 ヤコブは、ベニヤミンのことをエジプト人に話した過失を責めました。(43:6)兄弟たちは必至になって事情を話しました。(7節)ここで、ユダは、過去の責任のなすり合いを避け、未来志向の提案をしました。

私自身があの子の保証人となります。私が責任を負います。もしも、お父さんのもとに連れ帰らず、あなたの前にあの子を立たせなかったら、私は一生あなたの前に罪ある者となります。(創世記43:9)

 ユダが、末っ子ベニヤミンの命を守り全責任を負う覚悟を示しました。死ぬ覚悟を見せたと言ってもよいでしょう。ユダがそこまで言えた背景は何でしょう。父ヤコブや自分たちの妻や子供たち全員に食料を与えたい。人質のシメオン兄さんを救出したい。つまり動機は愛なのです。

また、過去の自分たちの行動に対する深い反省がありました。二度と同じような失敗をしたくない。人を殺害するのでなく人を生かしたいという強い思いがありました。

 「ユダと兄弟たち」(44:14)という記述が次の章にありますが、この後、ユダは兄弟たちの中で自然にリーダーシップを取るようになります。ヤコブが臨終のとき、ユダは獅子の子と呼ばれ、兄弟たちの上に君臨し、王権は離れないと預言しました。(49:9~10)主イエスもユダの子孫としてお生まれになっています。(マタイ1:1~3)

 あなたはユダです。今まで後ろに隠れてその他大勢の一人だったかもしれません。祈りと御言葉に押し出されて手をあげて「私がやります」という人になりましょう。

 ☐主に励まされて「私がやります」と言ってみましょう
☐全力で誰かを背負ってみましょう

2022年11月20日日曜日

創世記42:29~38

 質問1:ルベンたちは、なぜ、ありのままを話せたのでしょう?
質問2:ヤコブはどんな反応をしましたか?
質問3:ルベンの言葉をどう思いますか?
質問4:あなたがヤコブだったら、どう応答しましたか?

ヨセフ物語を貫くテーマは家族です。特に、親子関係、兄弟関係が取り扱われています。心安らぐはずの家庭が、えこひいき、ねたみ、憎しみ、嘘、誤解、頑固さによって地獄のように変わりました。どうしたら温かい家庭になれるのでしょう。ヨセフ物語はそのヒントを与えてくれます。

 今日のあらすじはシンプルです。ルベン達9人の兄弟がエジプトで買った穀物を持ち帰り、父ヤコブに何が起きたかを報告し、ヤコブはそれを聞いて憤り態度を硬化させたと言う内容です。

 兄たちはエジプトで起きたことを詳細に伝えました。(29~34節)エジプト高官にスパイの嫌疑をかけられ、身の潔白を証明するために家族構成を話すと、その場にいない末の弟を連れて来れば信用しようと言われたのです。末っ子ベニヤミンを連れ戻れば人質のシメオンを解放してくれるので、彼を連れて行かせて下さいとルベンは父に話しました。

 ルベンたち兄弟は21年前、ヨセフを奴隷に売ったのに野獣に殺されたと口裏を合わせ嘘をつきましたが、今回、シメオンが人質に取られた事を含めてありのままを父に知らせました。

 嘘で取り繕わず、不都合な真実まで語れるようになりました。それは、エジプトの投獄経験で自分たちの悪を深く反省した結果なのでしょう。

父ヤコブは言った。「おまえたちは、すでに私に子を失わせた。ヨセフはいなくなり、シメオンもいなくなった。そして今、ベニヤミンまで取ろうとしている。こんなことがみな、私に降りかかってきたのだ。」(創世記:36)

 ヤコブの反応は残念です。ヨセフ、シメオン、そしてベニヤミンと私の息子たちを失わせたのはおまえたちのせいだとヤコブは息子たちを責めました。42:1~2から分かるように、エジプトに行って穀物を買いに行きなさいと命じたのは父ヤコブでした。父親が自分の発言を忘れて責任転嫁したのです。

 また、悲劇のヒーローは自分だけだと自己憐憫に陥っています。ルベンをはじめ兄弟全員が同じ悲しみを負っていることを忘れています。

 38節では、意固地になり、ぜったいベニヤミンは行かせないと述べました。さらに、白髪で年老いた者の願いを聞け、私を死なせる気かと脅迫めいたことまで言いました。

 あなたがヤコブの立場だったら、帰って来た息子達に何と言いますか。

 ご苦労だったな。穀物を買って来てくれてありがとう。これでしばらく家族全員が生きながらえる。お前たちのせいではない。私がエジプトに行けと言ったのがいけないのだ。しばらく休んだら出かけよう。私も行く。ベニヤミンをその高官の前に立たせて潔白を証明しよう。何かが起きたら、私が人質になる。私が一番の高齢で、ここで死ぬか、あちらで死ぬかだ。

 ルベンは父に言った。「もし私がこの弟をあなたのもとに連れ帰らなかったら、私の二人の子を殺してもかまいません。彼を私に任せてください。この私が彼をあなたのもとに連れ戻します。」(42:37)

 ルベンは父の言葉や態度に胸を痛めながらも、ベニヤミンの命を守ると必死に説得しました。もしもの場合は、自分の二人の息子の命を取っても良いとまでいいました。

ルベンはすぐ下の弟シメオンを大切に思っていました。たとえ、ヨセフ殺害の首謀者で粗暴な人物だったとしても、かけがいのない兄弟として愛していたのです。

家族の一人を救うために大きな犠牲を払うことがあります。父なる神は、ご自分の一人子の命を差し出して私たちの命を救って下さいました。

父ヤコブと息子達は、温かい家族を取り戻すプロセスに入っています。自分たちの行った悪を悔い改め始めた兄たちは正直に話す者になり、誰かのために犠牲を払う覚悟ができてきました。父は、えこひいきで自己憐憫で意固地なままですが、息子達の誠実さや熱意や神を見上げる姿勢に触れているので、今後が期待できます。

 あなたの家族をもっと温かいものにしましょう。ヤコブのような態度はやめましょう。あなたに何ができるか考えてみましょう。

☐不都合な真実を話せるのが家族。
☐苦労したり失敗した者をねぎらうのが家族。
☐いざという時は犠牲を惜しまないのが家族。

2022年11月13日日曜日

創世記42:18~28 

 ヨセフは三日目に彼らに言った。「次のようにして、生き延びよ。私も神を恐れる者だから。」(創世記42:18~19)

 ヨセフは突然兄たちと再会したため憎しみと怒りが燃え上がり自分を制することができなくなり、兄たち10人にスパイの嫌疑をかけて牢屋に投げ込みました。

それから3日が過ぎ、ヨセフはやっと自分を取り戻せました。冷静になるために3日という時間が必要でした。「私も神を恐れる者だから」という言葉にヨセフの柔らかな心があらわれています。

9人を人質に取り一人を帰らせたらわずかな食料しか持って帰れません。父、そして、兄たちの妻や子供たちを助けることができないと気づいたのです。それで、最初の命令を取り下げ、一人を人質にし9人を帰らすことにしました。これは、自分の役割を自覚し、心が穏やかになった印です。神を恐れる者にもどれたのです。

ただし、弟ベニヤミンと再会したい、兄たちにいじめられていたなら助け出してエジプトで一緒に暮らしたいという願いは変わりませんでした。

怒りや憎しみが燃え上がる時、私たちは自分にだけ目が向いています。自分の視点からしか物事を見られません。けれども、時間を置いたり、主の前で祈ったり、みことばを読んだりすると心を冷却させることができます。そして、相手の立場に立って考えたり、自分を客観視できるようになります。

 あなたにも3日間の冷却期間が必要かもしれません。物事を自分の立場からだけではなく、相手の立場、客観的視点、神の目から見つめ直しましょう。

 

彼らは互いに言った。「まったく、われわれは弟のことで罰を受けているのだ。あれが、あわれみを求めたとき、その心の苦しみを見ながら、聞き入れなかった。それで、われわれはこんな苦しみにあっているのだ。」(42:21)

 兄たちは、突然スパイの嫌疑をかけられ、投獄され、大きな不安を抱え、処刑される恐怖を味わいました。ヨセフもきっと同じような苦しみを味わったのだと兄たちは思い至りました。

 3日後にヨセフの前に立った兄たちは、口々に同じことを語りました。今、我々は罰を受けている。ヨセフを殺そうとしたり、奴隷に売ったことの罰を受けている。21年前、ヨセフがあわれみを求めた時、我々はそれを無視した。「その心の苦しみを見ながら、聞き入れなかった。」

ルベンは、ヨセフに手を出すなと言ったじゃないかと長男らしい事を語り、「血の報い」という言葉を使ってヨセフは死んだという認識を述べ、責任を痛感していました。おそらくヨセフは、ルベン兄さんがヨセフの命を救ったことを初めて知ったのでしょう。

兄たちは、通訳を介していたので、会話がヨセフに伝わっていたとは思いませんでした。

 ヨセフは彼らから離れて、泣いた。それから彼らのところに戻って来て、彼らに語った。そして彼らの中からシメオンを捕らえて、彼らの目の前で彼を縛った。(42:24)

ヨセフは、その場を離れ、一人で涙を流しました。兄たちの反省の言葉が心に迫りまったからです。強く反省している気持ちが伝わってきました。ルベンの配慮に感謝しました。色々な感情がヨセフの中で巡ったので、席を外して泣いたのです。

兄たちがヨセフの存在に気づいたら謝罪の動機が複雑になったはずです。殺されないために謝るとか、穀物を手に入れるために謝罪するとか、不純な感情が混ざってしまいます。けれでも、今、兄たちはヨセフの存在を知りません。ヨセフと気づかない時に、当事者のいない所で、自分が悪かったと声に出して言える行為は、真実な悔い改めに至る大切な第一歩になるのです。

ヨセフは兄たち9人のロバに積めるだけの穀物を持たせました。代金の銀は受け取らず、そっと袋に入れて返しました。

☐怒り過ぎたら、冷却期間を置いて神を恐れる者に戻ろう。  
 ☐罰を受けていると気づいたら、悔い改めよう。

2022年11月6日日曜日

創世記42:1~17

  ときに、ヨセフはこの地の権力者であり、この地のすべての人に穀物を売る者であった。ヨセフの兄弟たちはやって来て、顔を地に付けて彼を伏し拝んだ。(創世記42:6)

 ヨセフは、なぜ意地悪になったのでしょう。
 人は、どんなきっかけがあると、悪い人になるのでしょうか。

 ヨセフは富も名誉も生きがいも手にして満ち足りた生活をしてきました。7年間の豊作が続き、結婚して二人の子供を与えられ、やりがいのある仕事があったからです。

 ヨセフは人格者でもありました。忍耐強く、誠実で、学ぶ姿勢があり、人に希望を与え、周囲から信頼される人でした。

 けれども、兄たち10人の顔を見た途端、憎しみと復讐の炎が燃え上がりました。「見知らぬ者」(7節)として「荒々しいことば」(7節)で対応し、「この国の隙をうかがいに来たのだろう」(9節)と根も葉もない疑いをかけて、兄たちを恐怖に突き落としました。人格者が一瞬にして悪者になりました。17歳の時に受けたあの苦しみは絶対にゆるせないとばかりに、兄たちを苦しめました。(創世記42:6~9)

 兄たちは必死になって弁明しました。家族構成を紹介する時に、一人の兄弟が自然にいなくなったという説明をしました。ヨセフはそれを聞いて堪忍袋の尾が切れたのでしょう。お前たちが奴隷に売ったのではないかと腹を立てたのです。それで兄たち全員を三日間、監獄に投げ込んでしまいました。(42:10~17)

 優しい人もきっかけがあると悪い人に変わります。憎しみ、怒り、復讐心などの否定的な感情に身を任せてしまうと意地悪になってしまいます。

 あなたは、最近激怒しましたか。冷静になってその時の自分を振り返って下さい。

 かつて彼らについて見た夢を思い出して、ヨセフは言った。「おまえたちは回し者だ。この国の隙をうかがいに来たのだろう。」(9節)

 ヨセフは、人の夢については冷静に解き明かせました。三日で監獄を出られますと献酌官に解説したり、7年の豊作の後に7年の凶作が来ると王に説明しましたが、自分の夢となると別問題でした。

兄たちが自分にひれ伏す夢を見たことは思い出せたのですが、夢の意味は分かりませんでした。夢についての考察をせずに怒りに身をゆだねてしまいました。

ヨセフの見た夢を解き明かすとこうなります。ヨセフがエジプトに派遣されたのは、ヨセフが家族全員を助けるためだった。それが、神の計画であることを明確に教えるため、あらかじめ夢を通して予告されたのです。

その場で夢の意味が理解できなくても、兄たちに別室で待機してもらい、仕事を早めに終わらせ、一人で祈り、一人で夢について熟考すればよかったのです。

怒りが強すぎると自分の役割をとらえられません。今までの道のりや、現在置かれている立場を冷静に見直す機会があれば、神が与えて下さった使命を理解できます。自分の役割が分かると、怒りや復讐心が溶けていきます。

あなたが今ここにいる意味を考え直してみましょう。

☐怒りや復讐心はマイナスに働く
 ☐神が示して下さったみこころを静かに思い巡らそう

 ☐与えられた使命を見つけよう

 

ヨハネ20:1~18 ラボニ

 「だれかが墓から主を取って行きました。どこに主を置いたのか、私たちには分かりません。」(ヨハネ20:2)   マグダラとはガリラヤ湖西岸の町の名で、ティベリアの北にあります。マグダラのマリアは、ルカ8:2によると7つの悪霊を追い出して病気を癒してもらった人で、マタイ27...