ときに、ヨセフはこの地の権力者であり、この地のすべての人に穀物を売る者であった。ヨセフの兄弟たちはやって来て、顔を地に付けて彼を伏し拝んだ。(創世記42:6)
ヨセフは、なぜ意地悪になったのでしょう。
人は、どんなきっかけがあると、悪い人になるのでしょうか。
ヨセフは富も名誉も生きがいも手にして満ち足りた生活をしてきました。7年間の豊作が続き、結婚して二人の子供を与えられ、やりがいのある仕事があったからです。
ヨセフは人格者でもありました。忍耐強く、誠実で、学ぶ姿勢があり、人に希望を与え、周囲から信頼される人でした。
けれども、兄たち10人の顔を見た途端、憎しみと復讐の炎が燃え上がりました。「見知らぬ者」(7節)として「荒々しいことば」(7節)で対応し、「この国の隙をうかがいに来たのだろう」(9節)と根も葉もない疑いをかけて、兄たちを恐怖に突き落としました。人格者が一瞬にして悪者になりました。17歳の時に受けたあの苦しみは絶対にゆるせないとばかりに、兄たちを苦しめました。(創世記42:6~9)
兄たちは必死になって弁明しました。家族構成を紹介する時に、一人の兄弟が自然にいなくなったという説明をしました。ヨセフはそれを聞いて堪忍袋の尾が切れたのでしょう。お前たちが奴隷に売ったのではないかと腹を立てたのです。それで兄たち全員を三日間、監獄に投げ込んでしまいました。(42:10~17)
優しい人もきっかけがあると悪い人に変わります。憎しみ、怒り、復讐心などの否定的な感情に身を任せてしまうと意地悪になってしまいます。
あなたは、最近激怒しましたか。冷静になってその時の自分を振り返って下さい。
かつて彼らについて見た夢を思い出して、ヨセフは言った。「おまえたちは回し者だ。この国の隙をうかがいに来たのだろう。」(9節)
ヨセフは、人の夢については冷静に解き明かせました。三日で監獄を出られますと献酌官に解説したり、7年の豊作の後に7年の凶作が来ると王に説明しましたが、自分の夢となると別問題でした。
兄たちが自分にひれ伏す夢を見たことは思い出せたのですが、夢の意味は分かりませんでした。夢についての考察をせずに怒りに身をゆだねてしまいました。
ヨセフの見た夢を解き明かすとこうなります。ヨセフがエジプトに派遣されたのは、ヨセフが家族全員を助けるためだった。それが、神の計画であることを明確に教えるため、あらかじめ夢を通して予告されたのです。
その場で夢の意味が理解できなくても、兄たちに別室で待機してもらい、仕事を早めに終わらせ、一人で祈り、一人で夢について熟考すればよかったのです。
怒りが強すぎると自分の役割をとらえられません。今までの道のりや、現在置かれている立場を冷静に見直す機会があれば、神が与えて下さった使命を理解できます。自分の役割が分かると、怒りや復讐心が溶けていきます。
あなたが今ここにいる意味を考え直してみましょう。
☐怒りや復讐心はマイナスに働く
☐神が示して下さったみこころを静かに思い巡らそう
☐与えられた使命を見つけよう