ヨセフ物語は今日で完結します。
家族は和解し、主の約束は実現しています。
ヨセフ物語の第一のテーマは家族の再生でした。父のえこひいきがヨセフを傲慢にさせ、それをねたんだ兄達がヨセフ殺害を企て、結果的にはヨセフは奴隷としてエジプトに売られました。父も含めてヨセフと兄たちがどう和解するかが語られてきました。
第二のテーマは、共におられる神です。ヨセフがどんなに苦しんでも主が守りすべての事を益として下さいました。
第三のテーマは神の祝福です。ヤコブの生き方がどんなに歪んでいても、ヨセフの兄たちが邪悪であっても、すさまじい飢饉が押し寄せて来ても、神の約束は確実に実現していきました。
今日の箇所、創世記50章は、ヤコブの死と埋葬、兄達への保護の約束、ヨセフの死と希望について書かれています。
ヤコブの遺言通りにマクペラの畑地の洞穴に葬りました。「息子たちは彼をカナンの地に運び、マクペラの畑地の洞穴に葬った。」(創世記50:13)
長寿を全うしたように見えるヤコブであっても、ヨセフは父の顔の上に崩れ落ちて泣きました。(1節)70日間の喪の期間が過ぎてから、ヨセフは父の遺言通りの埋葬を行いました。愛する人が亡くなったら、涙が枯れるまで悲しみましょう。葬儀と埋葬を通して新しい歩みを始める区切りとしましょう。
パレスチナの土地をヤコブの子孫に与えるという約束はまだ実現しておらず、アブラハムの買った埋葬のための畑地だけが彼らの土地でした。ヤコブがそこに葬られたいと遺言したのは神の約束の完全な成就を信じた信仰の表明だったのです。
ヨセフの兄弟たちは、自分たちの父が死んだのを見たとき、「ヨセフはわれわれを恨んで、われわれが彼に犯したすべての悪に対して、仕返しをするかもしれない」と言った。(創世記50:15)
父ヤコブの死をきっかけにヨセフが復讐するのではと兄達は恐れに捕らわれました。それで、父が兄達を赦すように遺言していたとヨセフに伝えました。(15~17節)
ヨセフはそれを聞いて泣きました。これは複雑な涙なのです。ヨセフが奴隷に売られたのが32年前のこと。兄達との再会して、「心を痛めたり自分を責めたりしないでください」(45:5)と兄達を赦してから17年もたっていました。復讐を恐れた兄達が不憫でした。ヨセフにとっての苦難の日々は過去になっていたのです。
あなたがたは私に悪を謀りましたが、神はそれを、良いことのための計らいとしてくださいました。それは今日のように、多くの人が生かされるためだったのです。(創世記50:20)
ヨセフの言葉はパウロの手紙を思い出させてくれます。悪を善に変えて下さるお方が私たちの信じている神なのです。
神を愛する人たち、すなわち、神のご計画にしたがって召された人たちのためには、すべてのことがともに働いて益となることを、私たちは知っています。(ローマ8:28)
この出来事から50年たった頃、今度は、ヨセフが臨終になり遺言を述べました。
ヨセフは兄弟たちに言った。「私は間もなく死にます。しかし、神は必ずあなたがたを顧みて、あなたがたをこの地から、アブラハム、イサク、ヤコブに誓われた地へ上らせてくださいます。」(創世記50:24)
ヤコブの生き方を引き継いだヨセフは、神が約束を実現してくださると希望を持って亡くなりました。神は「必ず」約束の地に上らせて下さる。ユダヤ民族がかの地に移住する時には、私の遺骸も携え上ってほしいと語りました。
約400年後、出エジプトを果たした人々の列に、ヨセフの遺骸が担われていました。(出エジプト13:19)
☐愛する人の死は心ゆくまで悲しみましょう。
☐神がおられるので、悪は良い事に変えられます
☐神の約束は必ず実現する
☐死ぬ時も希望を抱いて死んでいける