エペソ人への手紙の最後のアドバイスは、ファイティングスピリットを持て、です。
「終わりに言います。主にあって、その大能の力によって強められなさい。」(エペソ6:10)
パウロはこの数年の間に、逮捕、監禁、不当な裁判、暗殺計画、ローマへの護送、獄中生活、裁判のプロセスなどを経験し、「戦い」という現実を日々体験してきましたが、その経験が今回のアドバイスに生かされているのでしょう。
困難や闘いが突然起きた時、私たちは動揺し、濁流にのまれてしまいます。戦いが起きているにも関わらず、それが現実と認識できなかったり、逃げてばかりいたり、目を閉じたり、神を非難したり、他人任せにすることがあります。それでは滅んでしまいます。
あなたが戦うのです。生身のあなたは弱いのですが、武具があれば守ってくれます。みことばの剣を持てば、あなたは戦士です。強められなさい、それがパウロの最後の忠告でした。この箇所の内容はエペソの手紙だけにあるユニークな励ましです。
ローマ兵が武具を身に付けた状態のように、神の大能の力を頂いてクリスチャンも隙を作らずに、戦闘態勢を取るように勧めました。パウロは、エペソ1:19でも神の大能の力に触れています。
「堅く立つ」という表現が11、13、14節で用いられています。試練という強い北風に吹かれても立ち続ける心意気が大事なのです。
「私たちの格闘は血肉に対するものではなく、支配、力、この暗闇の世界の支配者たち、また天上にいるもろもろの悪霊に対するものです。」(12節)
私たちは目の前にいる人物が敵だと考えやすいのですが、パウロは真の敵は背後にいる敵だと見抜いていました。ですから、戦うためには神の武具を身に付けないと立ち向かえないのです。
神の武具は6つあります。ローマ兵の装備で言うならば、帯、胸当て、靴、盾、かぶと、剣です。それぞれに、真理、正義、福音、信仰、救い、みことばが当てはめられています。あなたに必要な武具はどれですか。
この6つは、クリスチャン生活に不可欠な要素です。自分が救われていることを確信し、生けるキリストへの信頼を持ち、聖書の出来事を歴史的な真理として受け止め、十字架の福音を語る用意を怠らず、正義を動機とし、みことばの希望を信じて困難に立ち向かうのです。
ローマ兵が持っていない秘密兵器を私たちは持っています。7番目の武具は祈りです。
「あらゆる祈りと願いによって、どんなときにも御霊によって祈りなさい。そのために、目を覚ましていて、すべての聖徒のために、忍耐の限りを尽くして祈りなさい。」(18節)
私たちは誰かのために祈るために生まれました。そして、誰かに祈られて支えられて生きていくのです。
パウロですら祈りの援護を必要としました。裁判のプロセスで皇帝は神ではないとか、政府に逆らう言動をすれば死刑は免れません。しかし、福音を薄めて語るなら伝道者として失格です。ですから、どんな場面でも「福音の奥義を大胆に知らせることができるように」(19節)祈ってほしかったのです。
21~24節は最後の挨拶の部分です。この手紙はアジア人ティキコが運びました。(使徒20:4、第二テモテ4:12)エペソ教会では良く知られた人物だったのでしょう。手紙の文面に書けない実情を彼が詳しく伝えたと思われます。
あなたの戦いは何ですか。
今、どんな敵と相対していますか。
その戦いで逃げ腰になっていませんか。
勝利者イエスとつながっているので、必ず勝てます。
「特別に愛されている人よ。恐れるな。安心せよ。強くあれ。強くあれ。」(ダニエル10:19)
□目の前の人物は本当の敵ではない。
□神の武具を身に付けて、固く立とう。
□祈り、祈られ、勝利しよう。