マルチン・ルターはヨハネ3章16節を「小さな聖書」と呼び、聖書の内容が凝縮された重要聖句だと述べています。今日はこの一節を中心に見ていきましょう。
神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに世を愛された。それは御子を信じる者が、一人として滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。(ヨハネ3:16)
ヨハネの福音書の特徴は主イエスのエピソードを厳選して掘り下げている点にあります。また、その時の様子や会話を詳細に記録した後、ヨハネ独自の視点で解説を加えていることも大きな特徴です。
ニコデモと主イエスの会話(3:1~15)は不自然なほど急に終わっています。それは、青銅の蛇が荒野で竿の先に上げられたように人の子も上げられると主イエスが言われた事に(3:14)説明を加える必要があったからです。読者に正確に分かってもらうため、16節で肯定面から解説し、17~21節では否定面からも説明しました。
3章16節を一番シンプルに分解するとこうなります。
1、神はあなたを愛している
2、一人子を与えるほど愛している
3、それは信じる者が滅びずに永遠の命を持つため
ヨハネの福音書において「愛」についての言及は39回もあり、他の福音書の何倍にもなります。そしてヨハネ3:16節はヨハネの福音書で初めて愛が語られる場面です。
神はこの世を愛されました。世とは、すべての人を指します。あなたも私も神に愛されています。神が私たちを愛されたという証拠は、神が一人子のイエスさまをこの地上に遣わし、十字架で私たちの罪の解決をされたことによって分かります。愛は払われた犠牲の大きさによって分かるのです。
神が私たちを愛されたのは、私たちが罪ゆえに裁かれ滅ぼされないためであり、永遠の命を与えるためでした。
17~21節は、16節で語られた同じ内容を、反対側から見て説明したものです。暗闇の中で生きる者は光が近づくとまぶしいので逃げてしまいます。この場合、暗闇とは罪の生活です。光とは正義や真理を表していますが、主イエスご自身をも指します。19節で言っているように、光より闇を愛する生活は、それ自体がもう裁きになっています。
ヨハネ3:16節のポイントは、神があなたを愛しているという点にあります。このポイントをしばらく考え、あなた自身の心で味わって下さい。しっかり納得できないと、神の愛はあなたの心で根を張らず、芽を出すこともありません。
あなたが罪深くても、卑怯者でも、自己中心でも、神は愛しておられます。自分が嫌いなあなたも神は愛しています。
それでも分からないなら、十字架につけられた主イエスを見上げて下さい。あそこに、神があなたを愛しているという印があるのです。主イエスが歴史的な人物である事と、十字架にかけられた事は否定できない事実です。
言ってみればヨハネは、映画の場面を一旦止めて、解説者となって画面に表れ、神はあなたを愛していますと語り掛けているのです。おそらく、ヨハネは目に涙を浮かべ、全身全霊を込めて訴えています。
神の愛を受け止めて下さい。あなたは愛されるため生まれたのです。
□神はあなたを愛しています
□十字架は神の愛の証拠
□あなたは裁かれず滅びません
□あなたも誰かを愛する人になる