祭司長たちは裁判を行い、主イエスを冒涜罪を理由に死刑を決めました。(マタイ26:63~65)けれども、ピラトに対してはイエスが<ユダヤ人の王>であるという政治犯として死刑を求刑しました。ピラトはそうしたユダヤ人の思惑を見抜いて門前払いを試みますが押し切られました。
ローマ帝国により征服された国でローマに従順な王の場合は自治を任せます。征服されても反発の強い国は、ローマ総督が直接統治をし監視します。ポンテオ・ピラトは第5代の総督で紀元26~36年に統治しました。
そこで、ピラトはイエスに言った。「それでは、あなたは王なのか。」イエスは答えられた。「わたしが王であることは、あなたの言うとおりです。わたしは、真理について証しするために生まれ、そのために世に来ました。真理に属する者はみな、わたしの声に聞き従います。」(ヨハネ18:37)
ピラトはユダヤの王に等しい立場にいたので、王という言葉に敏感でした。目に見える国、人間の欲望と暴力が幅を利かす国はあるが、目に見えない神の国があるという主イエスの言葉にピラトは思わず引き込まれていました。主イエスは、死刑を求刑されているのに命乞いをせず、真理を証しするために生まれて来たと言われました。おもわず、ピラトは「真理とは何なのか」(38節)ともらします。真理はそこにおられたのです。
ピラトは主イエスには罪がないと公言し、祭司長たちの訴えを退け、過ぎ越しの祭りで恒例になっていた犯罪者の恩赦対象として主イエスを推薦して命を助けようとしました。ピラトはイエスを救出すべき大切な人とみなしました。(38~40節)
本当の権力者とは誰でしょう。ユダヤの最高権力者の祭司長ですか。違います。統治困難なユダヤを治めるローマ総督ですか。違います。縄をかけられ、囚人と扱われた主イエスこそが真の王なのです。主イエスはバラバという強盗の身代わりに死ぬことになりました。バラバとは私たちの真の姿です。
良い王は国民を豊かにします。王であるイエスは私たちの罪のために身代わりになり死んで、私たちを生かして下さいました。それで私たちは真理を知り、愛を知り、罪の赦しを経験し、私たち神の国の国民はまことの王イエスをたたえ、喜び、王に従います。
□真理を証しする主イエス
□罪なき救い主、まことの王、イエスに栄光あれ