洞窟でサウル殺害のチャンスがやってきました。
でもダビデは殺しませんでした。なぜでしょう。
サウル王は3000人の精鋭を集めエン・ゲディの荒野に向かいました。ダビデが死海に面した場所にいると情報が入り、恐らくは北、西、南の三方から1000人の部隊で追い詰めれば必ず仕留められると考えたのでしょう。
大きな戦いを前にして万全を期すため、サウルは用を足そうと洞穴に入りました。なんと、ダビデと部下数名がその洞窟の奥に隠れていたのです。
ダビデの部下は、サウルを殺すチャンスを主が下さったと理解し、ダビデに実行を促しました。けれどもダビデはサウルの上着の一部を切り取って終わりにしました。
ダビデは、剣を手に持っても一時の感情に流されず、復讐の鬼になりませんでした。それは、主の目線で人物を見ていたからです。逃亡の日々の中で主のみこころを思いめぐらし、直面する問題を高所から俯瞰する習慣を身に付けていたのでしょう。
ダビデの部下はサウルのことを「あなたの敵」(第一サムエル24:4)と呼びましたが、ダビデは「主に油注がれた方、私の主君」(6節)(10節)ととらえました。
彼は部下に言った。「私が主に逆らって、主に油注がれた方、私の主君に対して、そのようなことをして手を下すなど、絶対にあり得ないことだ。彼は主に油注がれた方なのだから。」(第一サムエル24:6)
サウルが洞穴を出て行くと、ダビデも後を追い、地にひれ伏し礼をしました。謙虚で無防備な姿勢で、「王よ」(8節)、「わが父よ」(11節)と呼びかけました。
ダビデはサウルを殺すことを願わず、心をつなぐ事を求めていました。自分の幸せだけでなく、サウルの幸せを望む態度を持っていました。
ダビデが9~15節で述べた内容は以下の通りです。
①ダビデがサウルに害を加えるという噂は事実ではない。(9節)
②この上着の裾がサウル殺害の意思のない証拠。(11節)
③悪意も背きの心も持っていない。(11節)
④ダビデは「死んだ犬」「一匹の蚤」に等しい存在。(14節)
⑤主がダビデとサウルの間をさばいてくださいますように。(15節)
サウル王はダビデの言葉を聞きその態度を見て、声を上げて泣きました。(16節)サウルの部下たちもこの様子を見ていたことでしょう。
サウルは自分が悪く、ダビデが正しいと認めました。主がサウル殺害のチャンスを与えられたのにダビデは実行しなかったことに感激しています。この一連の流れを見て、ダビデこそ王にふさわしく、ダビデが王国を確立させる器だと述べました。
「人が自分の敵を見つけたとき、その敵を無傷で去らせるだろうか。おまえが今日、私にしてくれたことの報いとして、主がおまえに幸いを与えられるように。おまえが必ず王になり、おまえの手によってイスラエル王国が確立することを、私は今、確かに知った。」(19~20節)
あなたの番です。あなたの敵とは本当に敵ですか。
復讐できたらな、その後に何が残りますか。
あなたの問題を主の目で俯瞰していますか。
ラインホルト・ニーバーの「平静の祈り」はこんな時に助けとなる祈りです。
神よ、私にお与えください
変えることのできないものを受け入れる平静な心を
変えることのできるものは変える勇気を
そしてそれらを見分ける知恵を
□主の目で見ると、敵も、問題も違って見える
□拒絶でなく、心をつなぐことを求めよう
□主は、サウルの心さえ変えて下さる方